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イシノラボ/マスターズ店長の連載

第1弾 日本オーディオ史

第75回 イシノラボ創業!真空管通販を始める

ビジネスチャンスを考える

話が前回より少しさかのぼり、1999年頃。ロジャース・インターナショナルジャパンに在籍して、2年経って、この会社の先行きにあまり希望が持てないと感じるようになってきた。特に、営業をやってみて、仕事自体は技術開発職と異なって、ヒューマンなところがたくさんあって面白かったが、利益を得ることは大変であった。
その後、この会社の終焉は、これまでのところを眺めれば分かっていただけると思う。

私は、再度、会社を作ってビジネスをすることはもう考えなかった。むしろ、個人事業主(自営)として、これからの人生を過ごしていきたいと思っていた。フリーのエンジニアとしてやってくことがメイン業務となるが、サブのビジネスとして、オーディオに携わることがないものかと考えた。高校生のときから真空管には興味があったし、トランジスタが主流であったが、また真空管が復活する流れがあった。そこで、真空管を販売しようと考えた。

仕入先、販売先をリサーチ、イシノラボを創業する

すでに日本では、真空管製造を完了してから長い年月が経っていた。日本の真空管製造設備は中国に移され、ようやく中国の真空管製造が起動に乗ってきたような時期であった。
また、ロシア(旧ソビエト)製の真空管も出回ってきていた。
また、アメリカ軍が大量ストックした真空管を、ベルギー倉庫から大量に放出される噂も聞いていた。

まずはアメリカブランドの真空管を輸入出来ないものかと、アメリカサンスイOBのI・F(マスターズのオーディオボード開発販売の共同者:N.J在住)さんにTELしたところ、I・Fさんはいろいろ探してみようと言ってくれた。
しばらくして、TELがあり、N.Yマンハッタン地区にLEEDS ELECTRONICSを主宰していたリチャード・マシューズさんとコンタクトできと言ってくれた。いろいろ聞いてみると、彼はとくにRCA真空管を入手できるという話であった。
当時、日本国内ではRCAはあまり出回ることはなく、アメリカの真空管と言えば、GEがアメリカの代表であった。リチャードさんは特別の仕入ルートを持っているらしく、RCA真空管を見つけてきてくれた。

早速、I・Fさんを介して、仕入することになった。こちらから、このような真空管がないか?と言うこともでき、先方からの、これは買い得とか貴重な真空管というオファーもあった。また、当然、全品、リチャードさんがテスト後、発送であった。私の方も真空管試験機を用意して、チェックは万全の態勢も取ることができた。
特に、RCAの12BH7A,12AX7A,12AU7A等のニーズの大きい真空管、RCAブランドは人気があったし、他の通販業者はあまり売っていなかったので、それなりの量が売れた。特に、ブラックプレートは人気があった。
また、GE,SYLVANIA,Raytheon,TUNG-SOLなども、まだアメリカ国内市場に在庫があった。特に、211,6336A,811Aなどが良く売れた。

当時、アメリカ軍からの放出真空管を大量に買い付けた商社は、Philips-ECGというブランド名を真空管にプリントして、大量にオーディオ真空管業界に出してきた。これらの軍放出品は、元々SYLVANIA真空管であるから、上記のようにプリントされても性能は安定していた。

また、ロシア製真空管も優秀で、安価なものがあり、特に6C33CBはOTL用真空管としてダントツであった。一時、ロシア貿易をしている商社からある程度大量に買い付けることもできた。また、ユダヤ系ロシア人が設立したNEW SENSOR社とのコンタクトもI・Fさんが動いてくれて、輸入できるようになった。6SN7,6V6,5U4G整流管等も輸入できた。

さて、どう販売するか?は、店舗を持つことは費用がかさむことから、通販専門とした。当時、ネット、メールはこれからの時代で、ホームページも作れなかった。そこで、オーディオ誌の“MJ”編集部に相談したら、広告代理店を紹介してくれ、“MJ”に1/2ページの広告スペースで告知することになった。とりあえずの立地は自宅とした。

通販業のネーミングは、妻の旧姓と私の姓を組み合わせて、“イシノラボ”とした。

注文はTEL、FAXが主体であった。送金は現金書留も多かった。しばらくして、支払方法は現金書留が全くなくなり、銀行振込、代引きとなった。

ほどなくして、自宅が手狭になり、自宅から900m離れたアパートを借り、マスターズアンプの開発のラボ、イシノラボの活動本拠地とした。2DKの狭さであるが、一応の製作、測定、ヒアリングができる体制を整えた。

余談であるが、上杉さんが存命のころは、GE真空管を大量に買い付けていることで、この業界では有名であった。

その後の状況

さらに、アメリカからの輸入先を探してみたら、アリゾナに“アンティーク・エレクトロニクス”という商社が見つかった。FAXで連絡を取ってみると、すぐ在庫カタログを送ってきた。特にアメリカ軍放出真空管が豊富だったので、輸入することになった。

そうこうしているうちに8年後くらいから、次第にアメリカ国内の市中在庫が枯渇し、リチャードは真空管を多数持っている個人から一括して買ったりして、こちらに買わないかと提案してきたりした。けれども、その数は少なく、“ようやく、RCA12AX7Aが3本見つかった!”というような情けない状況になってきた。

一方、国内の真空管取扱業者は“アムトランス”,“キョードー”,“クラシック コンポーネンツ”,“テクソル”と、段々と整理されてきた。(秋葉原の“三栄電機”は先代のかたが亡くなってから、息子さんがサラリーマンをやりつつ頑張っているが、お店が開いている日は3日/月、程度で少しさびしい。)

また、国内真空管の入手は困難で、真空管所蔵の方からの引取りでしか得られなかった。

ここで、真空管について、気が付いたポイントについて記す。

  • 外形,外観,印字が揃っているのは日本製、またウエスタンエレクトリックも良好。
  • 海外、特にアメリカ製は、ロットにより印字が異なる、特にRCAは印字が薄く、すぐ消えかかってしまう。
  • アメリカ製は、真空管製造会社間で相互に真空管を回しているので、例えば、GE製と印字してあってもロットによってはSYLVANIA製であることがある。
  • 電気的性能が揃っているのは日本製がトップ、ウエスタンエレクトリック製も良好。
  • アメリカ製のばらつきは日本製より多いが、気にするほど大きくはない。
  • 中国製はばらつきが多かったが、近年は改善されたと思う。
  • ロシア製(旧ソビエト製も含む)はほどほど良い性能。今後も主要な真空管製造国。
  • レア管は価格ほどの性能差はない。骨董的価値で高騰していると思う。
  • 真空管での音質差はそれなりにあるが、オーディオ誌に記述されるような極端な優劣はない。
  • ヨーロッパ製ビンテージ管は高価、最近は異常高価。今後個人ストックが少量出回ることがあるだろう。
  • 真空管のニーズは90%程度エレキギター用なので、エレキギターがある限り、真空管が無くなることはない。一方、オーディオ用半導体は無くなってきて、今後、真空管のように再生産されることはない。
インフィニキャップコンデンサの販売

WestRiverアンプ関係で知り合ったコンバック社長から電話があり、素晴らしいコンデンサをアメリカから入手したので、是非、見にきて欲しいということだった。数日後、久し振りに会った。

コンバックといえば、“ハーモニックス”という“整振アクセサリ”を開発し、当時、日本だけでなくアメリカオーディオ界でも評判になっていた。

お会いすると、すぐ、社長はカバンからフィルムコンデンサを取り出した。
ポリプロピレンフォルムによるコンデンサであった。他のコンデンサと異なるところは、両側の引出側にカッパ―パウダーが吹き付けてあった。全体の作りはハンドメードの感じであった。
説明を聞くと、TRT(1999年設立、カルフォルニア立地)という会社で発売になったフィルムコンデンサで、非常に音質が良いとアメリカのハイエンドオーディオ関係者達から評判になっていたので、アメリカ出張時にこの会社にコンタクトして、入手したとのこと。
コンバックでは、部品販売は考えていないので、“イシノラボ”で売ってみないかという話であった。真空管以外のパーツも販売してみたいので、さらに話を伺うと、まだ、日本代理店が見つからないので、可能性はある!という話であった。
イシノラボは小規模会社なので、ある程度の数量購入を約束できなくとも良いか?ということでも、構わないとのことであった。

このコンデンサはInfini-Capとネーミングされ、いろいろなグレードがあった。

サンプルを購入して、測定してみた。その点は問題なかったが、電極と引出ケーブルとの接続は自社(TRT)製の低融点のハンダを使用しているので、リードを過熱すると、リードケーブルが電極からはずれてしまうことがあった。

音質は個性的で、どちらかと言えば“濃厚”な味わいが特に真空管アンプには最適のサウンドと言えた。定番とされたASCの無色、透明なサウンドとはずいぶん違ったサウンドと感じた。他にない個性的なコンデンサと思えた。

問題は、とても高価で、運転資金を圧迫することであった。

輸入に際しては、I・Fさんが動いてくれて、スムーズに取引できるようになった。
そして、販売ルートとして、秋葉原部品ストアで売って貰えないかと考えて、売り込みを図った。幸い、3店(コイズミ無線,海神無線,ほか1店)が売ってみましょう!と言ってくれた。
この3店は非常に好意的で、支払いも代引き条件で取引してくれた。

そのような売り込み、紹介活動で、けっこう反応があり、高価にもかかわらず売れてきた。その反応をTRTに伝え、このコンデンサの特長について紹介して!と要請したら、TRTの社長の写真と説明文を送ってきた。

社長は当時、50才台と思え、社長は2件のアメリカパテントを有し、非常にサウンドが良いという文章だった。このコンデンサーの構造とか電気的な説明は一切なく、ひたすら、音質が良いという説明・解説に徹していた。

口コミでInfini-Capが評判となり、10年程度、この関係は続いたが、改良されたDynami-Capコンデンサが、ある時期から外側シールの印字が手書きになってきた。
社長に問い合わせると、日本製のシール印刷機が壊れてしまい、仕方なく手書きという返答であった。そのうえで、価格アップも通告されて、このあたりで販売を終息することになり、現在は、Infini-Capは在庫限りの販売である。
なお、パソコンで検索すると、2015年現在、日本国内で販売している商社が2店あるようだ。

イシノラボはMASTERSアンプ販売に注力するようになる

次第に世の中はネット時代となり、“イシノラボ”は有能な方のヘルプでホームページを作成して、ネット取引が主体となって久しい。

また、真空管等入手が難しくなって、“イシノラボ”のビジネスは、マスターズアンプの販売が主体となった。

おかげさまでマスターズアンプは評判が良いので、必要とされる限り、零細自営のかたちとして、継続するつもりである。


つたない文章をお読みくださいまして、ありがとうございます。
まだ、まだ、続きます。


【写真1】アンティーク・エレクトロニクス・サプライ(アリゾナ州にある真空管通販会社)
【写真1】アンティーク・エレクトロニクス・サプライ(アリゾナ州にある真空管通販会社)

【写真2】NEW SENSOR(N・Yにある真空管大手商社。ロシア製真空管が主体)
【写真2】NEW SENSOR(N・Yにある真空管大手商社。ロシア製真空管が主体)


2016年 4月 2日掲載


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