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BA-218FB/P
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 店長が日々感じたことを、オーディオエッセイ風に綴ります。開発日誌、コラムなど、様々な内容を情報発信しています。

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レコーディングスタジオでマスターズアンプをテストする!(後編)

世界初 300Bアンプをエレキギター用アンプとしてテスト!
 ~テストしたギタリスト、立ち会ったレコーディング・エンジニア、驚愕のサウンド!を体験したと言う!~

私は、以前からギターアンプには興味があり、ギターアンプの英文回路図集を持っているほどです。
なぜなら、トランジスタ登場以来、オーディオアンプはトランジスタアンプに代わっていき、1980年代には真空管は絶滅したかのように思えたほどです。
ところが、それは私の認識不足で、真空管はギターアンプの主要デバイスとして生き残っていたのです。エレキギターアンプのトランジスタ化がずいぶん検討され、製品化されましたが、一級品となるとどうしても真空管アンプになったようで、現在もその状況は変わりません。世界の真空管製造本数の80%以上は、エレキギター用と言われています。
エレキギターアンプに使われるパワー管は、6V6,EL84,6L6,5881,EL34等、すべてビーム管、5極管、いわゆる多極管です。
そして、その増幅回路はオーディオアンプと少し異なり、フィードバック回路が独特です。また、どういうわけか、3極管はギターアンプに用いられることはありませんでした。
CDで聴くエレキギターサウンドは、いわゆるラインアウトからの出力をコンソール入力して、音楽全体のバランスをとって、ミクシングされて聴くわけです。
ライブハウスで聴くエレキギターのサウンドは、エレキギターアンプで増幅し、エレキギタースピーカからのサウンドです。
そのサウンドは、いわゆるライン録りしたサウンドに比べ、ダンピングがイマイチ、アタックももう少し欲しいし、伸びやかさも不足、クリアさももっと出て良いと思っていました。エレキギターアンプはいつまでもビンテージギターアンプで良いのか?
私は、3極管、それも直熱3極管を採用したら良くなるのではないかと思っていました。けれども、誰しも、直熱3極管をエレキギターに採用する考えすら、浮かばなかったのでしょう。
オーディオ界と楽器業界はお互い疎遠で、相互理解もまったくないように思えます。
オーディオ界は、“エレキギターは楽器だから、おれたち、原音追求の道とは違う!”と言って、関心を持たなかったようです。

今回のテストに使ったアンプは、2012年9月28日のブログ“300Bバランスプッシュプルパワーアンプ“MASTERS BA-218/OS”の開発検討”でご紹介したアンプです。写真に示すように、現在は試作段階の300ppバランス増幅アンプ、それも、整流管2本使ったバランス増幅アンプが気持ち良いサウンドを出しているので、是非ともエレキギター用として、トライしてみたいと思っていました。(興味のある方はお問い合わせください。)

森田さんにお話したところ、“私も興味あります。それではギタリストを呼んで、弾いて貰って、一緒にテストしてみましょう!”ということになり、前述のトランス式パッシブプリアンプ“MASTERS CA-999FBS”のテストのあと、ギターアンプとして300Bアンプで音を出すことになりました。
大げさではなく、300B真空管アンプをエレキギターアンプとして音を出すなんて、世界初でしょう!
私は、高鳴る気持ちを抑えて接続作業に入りましたが、やはり興奮していたのでしょう。入力する箇所を間違えて、音がすぐには出ず、焦りました。
やっと正しい接続になり、テストギタリストとして、前述の傳田さんが受け持ってくれて、弦をはじき始めました。
その途端、スムーズにして、びしびし、瞬発力良好。傳田さんは“凄い!なんで、こんなに反応するの!低音の響きも充分、ふやけない、ppでもうるさくなく、明瞭!こんな体験始めて!”というコメント。そして、あとからやってきてくれたギタリスト、井上“KB”幸弘さんもテストに加わってくれて、エレキギターでフレーズをバラバラと弾き始めて、びっくりした顔つきでした。
さらに、ディストーション等のイフェクターで音色を変えても、クリーン(元の音)状態でも、このアンプのパーフォーマンスは変わりませんでした。
私はカラオケアンプを量産設計した経験からも、演奏者が弾きにくいアンプはNGなのです。良くないカラオケアンプで歌うと、疲れるばかりで、乗れないのです。
1日に昼間から50回以上、歌って検討したことが懐かしく、頭をかすめました。
まずはミュージシャンが気に入り、弾きやすく、乗ってきて、そして乗りの良いサウンドを聴けるエレキギターアンプでなくてはだめなのです。

MASTERSでは、オーディオアンプを長年やってきたので、本格的にギターアンプに乗り出すことは難しいと思いますが、少量生産やカスタム注文ならば、さらに検討を加え、製作することはできそうです。そうなら、さらなる具体化に向かって進みたいと考えています。
このブログをご覧になられて、ご興味をお持ちになられた方はご一報下さい。

森田さんから届いたメッセージを掲載します。

いわゆる真空管ギターアンプでは、常にコンプレッションがかかって聞こえ、レンジも狭くキツい音になっています。しかし今回試した300Bアンプではコンプレッション的なものは皆無で、クリーントーンとクランチやディストーション(SANS AMP 使用)全てにおいて余裕がある、密度の濃い、抜けるサウンドで、特に低域においてはかなり出ているのですが、ブーミーでもなく、ふくよかでナチュラルな低音で始めて体感する音像でした。

<テストに使用した機材>
 Gibson ES335(セミアコ)
 mike lull TX (テレキャスターモデル)
 スピーカーユニット:JBL D130F
 SANS AMP

試奏後にギターの傳田氏に話を聞きましたが、“あんなクリーンな音は聴いた事がないし、歪ませても全くうるさくない音が衝撃的だった、良い経験をさせてもらったと”嬉しそうに語っています。

エンジニア的に見ると、このアンプでギターを録音した場合、録音後のミックスでも埋もれないと思いますので、過激なEQを施す必要はないかと思います。
生演奏のアンサンブルでも同じ事が言えるでしょう。
このアンプはミュージシャンの感性を刺激して新しい音楽が生まれそうです。
製品として出てくるのが楽しみです。

MASTERS BA-218/OS
【開発中の300Bバランスプッシュプルパワーアンプ“MASTERS BA-218/OS”】


レコーディングスタジオでマスターズアンプをテストする!(前編)

東京・大田区にある“バニラハウス・レコーディングスタジオ”に行ってきました。
このスタジオは、民家(コンクリート2階建て)の1階部分をレコーディングスタジオに改造しています。スモールサイズながら、グランドピアノを備え、ボーカルブースも設置してあります。代表取締役であり、レコーディング・エンジニアでもある森田さんは、“サウンド・オーナーシェフ”と言えましょう。
このスタジオはアット・ホームな雰囲気なので、若手ミュージシャン達が使ってくれるようです。

森田さんは長年、“アルファレコード”や“SONY MUSIC”で新人発掘業務、エンジニアリング、そして、フリーのプロデューサーとして従事されてきたので、音楽作りの現場もご存じですし、ミュージシャンの腕前・才能を見抜く眼力も確かなものです。それ以上に、サウンドを大変大事にされており、そして、オーディオに対する情熱・造詣も深いです。
メジャーのデジタルサウンドがあまり良くないことを憂いている一人でもあります。

今回の訪問は、森田さんが当社のパッシブプリアンプをスタジオで聴きたいとのリクエストと、後述するMASTERSの300B真空管アンプを、エレキギターアンプとして使ったらどうなるか?との相互のニーズが合致して実現しました。

トランス式パッシブプリアンプ“MASTERS CA-999FBS”をレコーディングスタジオでテスト!

このスタジオのモニターシステムは、スピーカに“ALTEC 605A”、イギリス製小型モニター“EPOS”(ロジャースのLS3/5Aのキャビネット製作していた会社製のキャビネットに、イギリス製ユニットを装着した2WAY)に、パワーアンプ“QUAD303”、カスタム製デジタルコンソールです。森田さんは電源を重要視しており、高電圧、少電流主義を実現すべく、あえて240V(イギリス商用電源)で、これらの機器を動作させています。
普段はイギリス製2WAYを小型モニターに用いており、現状システムで聴かせていただきました。
音源は、最近、ミュージシャンが集まって、興が乗ったところで森田さんが録ったもので、音楽する楽しみを記録する意味で、同時録音(セッション)になったとのことです。

私にとっては聴きなれた名曲ばかり、フィメールボーカルを主体としたCDアルバム風になっています。デジタル録音して、そのままの加工なし音源なので、フレッシュそのものです。
私は、バランスを良く録ってあり、聴きやすく、とても好ましく感じました。
生音を知っている森田さんは、もっと生っぽいサウンドが出るはずだ!との観点から、MASTERSのパッシブプリアンプを、モニターシステムに入れ込んで聴きたいというのです。
それではと、写真に示すように、ミクサーシート脇の机の上にパッシブプリアンプをセットして、コンソールからオーディオ信号も貰い、トランス式パッシブプリアンプ“MASTERS CA-999FBS”の入力に入れ、出力を“QUAD303”に入れます。
接続を終えて再生の用意が出来たところで、音出しです。

“何と、フレッシュで、生っぽく、しなやかで、音楽が溶け合うのでしょう”。フィメールボーカルが表情豊かに、たっぷりと聴かせます。ほとんどリハーサルなしで一発録りしたとのことで、ミュージシャン達も大した実力です。音楽する余裕と喜びが溢れています。
森田さんは唸って、うなずき、“まるで、音楽が違って聴こえる!良いサウンドが録れていたんだ!”と。
私は、“森田さん!ほんとに、ここで気軽に録ったの?メジャーCDでは、こんな生きたサウンドは聴けない!”と言ってしまいました。
私はケーブル関係には無頓着で、関心もあまりないですが、バランスケーブルをイギリス製ケーブルとアメリカ製ケーブル(ゴッサム)に交換して、私に聴かせます。特に、ゴッサムケーブルでは、かつて、アメリカ・ロスアンジェルスで聴いた、あのごっつい、ややドライな音調が聴こえてくるではないか?との感慨に浸ってきます。
聴き終わって、どうしてこうなるのかは現在のオーディオ科学では解明できませんが、推測としては、以下のようなところでしょうか。

  1. 電源とは一切関係ない機器であること。電源ノイズの影響がない。
  2. パッシブアンプであるからノイズは全くでない。オーディオ信号のみを伝送し、静けさ、清らかさを悪化させない(きれいな流れを汚すものがない)。
  3. キーパーツであるコアがスーパーパーマロイでひずみがなく、さらに、適切な巻線設計ですっきりしたサウンドが出る。
  4. トランス式だから、取り扱うインピーダンスが低く、パワーアンプを低インピーダンスでパワフルにドライブ出来る。

こうして聴いていたところに、このセッションにギターで参加された傳田さんが来訪されたので、聴いてもらいました。傳田さんもびっくりして聴きこんでいました。傳田さんは、写真のミクサーシートに座っている方です。まだ26才の若手ですが腕利きのギタリスト、アレンジャーです。

この音源は、頼んでCD-Rに焼いて貰いました。それをラボで聞き、ご機嫌で、感激を新たにしながら、このブログを書いています。

<パーソネル>
 Ds:河村 亮 カワムラ アキラ
 Bass:森田 晃平 モリタ コウヘイ
 guitar:傳田修弘 デンダ ノブヒロ
 vocal+key:大和田 慧 オオワダ ケイ

<スタジオ連絡先>
 vanilla house sound lab.(ヴァニラハウス サウンドラボ)
 Phone/fax 03-5700-2319
 Email:vanillahousesoundlab@gmail.com

傳田修弘さん
【傳田修弘さん】


300Bバランスプッシュプルパワーアンプ“MASTERS BA-218/OS”の開発検討

EL34によるバランスプッシュプルパワーアンプは3年経過のうちに好評に推移して、カスタム化したアンプも数台の製作を致しました。
そこで、今度は300Bで実現しようと検討を開始し、このほど、やっと形になりかけております。画像に示すように、整流回路に2本も整流管を採用して、他の真空管アンプにはないL/R2電源方式としております。
300Bの定評ある良好なサウンドと、整流管整流の整流ノイズや逆流期間のないスムーズな電源で、かなり優れたサウンドが出てくるような期待があります。
但し、パワーは16W+16W程度に抑え、充分なロングライフが実現できるように致しました。まだ配線中なので、10月になりましたら完成報告出来ると思います。

そして、新開発Zバランス回路の新アンプの試作もシャーシケースが出来上がってきたので、注力しているところです。
とりあえずの試作機は、デザイナーの大友さん(熱心なオーディオファン)に3週間前に送ったところ、益々好ましいパワフルサウンドになってきたとの報告がありました。

それでは、微力ですが、ご期待下さい。


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