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故 江川三郎さんの記念記事から考えること

2019年9月号“ステレオ”誌に故 江川三郎さんに関する記事が特集されています。
私は山水時代の1970年代、4回ほどお会いしております。江川さんの発言はとてもユニークで、当時のオーディオ常識を超えていたので、メーカーが敬遠しがちでした。
江川さんは2015年1月、82才で亡くなられています。故 菅野沖彦さんとは少年時代は仲の良いオーディオ仲間でした。
オーディオ評論家として、お二人は対照的な立場をとられました。
さて、以下、ユニークな江川さんの発想、指摘、意見について、述べてみたいと思います。

スピーカーケーブルを一変させた!

1970年代のスピーカー(SP)ケーブルは普通の2線赤白ケーブルでした。多くの評論家さんのSPケーブルもそれでした。
江川さんの最初の指摘は、SPケーブルは短い(50cmくらい)のが一番良い。これはそのとおりで特に反論もありませんでした。
次はリッツ線が良いと指摘されました。確かに、交流電流は導体の表面を流れる性質(表皮効果)があり、それなら、リッツ線が良いとの提唱でした。
これも反論は無かったですが、江川さんが指摘するほどのオーディオ界の反応はありませんでした。
ところが平行ケーブルに交流信号が流れると誘導現象により電球が点くことが発表され、これは大きな話題となり、平行ケーブルのインダクタンスを打ち消すよじりケーブルを並列にした、真田ひものようなSPケーブルがJVCより発売され、一時はやりました。
このことが契機にいろいろなケーブルが発売され、今や、大きなオーディオビジネスになっています。1m¥10万もする高価なSPケーブルも珍しくありません。
そのきっかけを作ったのは江川さんの功績です。
近年のSPケーブルは銅純度やDC抵抗が主たるセールスポイントで、決め手はヒアリングレポートの評価も影響あるようです。

私はSPケーブルには無頓着で、ドイツ製の透明被覆の¥630/mケーブルを使っています。
特に、凝ることはしていません。強いて言えば、ケーブルの高周波特性インピーダンスから外れないように片端をその抵抗値でシャントすることは良いことです。
ちなみに普通の2線ACケーブルの特性インピーダンスは120Ωです。
(1970年代のサンスイでの社内ヒアリングには、太い75Ωの同軸ケーブルをSPケーブルとして使っていました。)

バッテリー駆動は音が良い

江川さんは、乾電池を多数個直列につないで動作させたところ、凄く音が良くなったと述べています。
ほかの評論家さんにパワー感が薄くなったとのコメントもありましたが、その方はノイズ成分がパワー感を助長するものとして感じたのでしょう。
江川さんは、早くから本質的な良さを感じ取っていました。私は当時、そんなものかと思っていました。
ところが、マスターズアンプで、バッテリーとAC電源との比較で打ちのめされました。
バッテリー/ACコンパチアンプを購入されたお客様からは、その違いに驚いたとの感想を頂きました。
近年、AC電源の電磁波ノイズ汚染はひどく、いろいろ対策したところで、皆無というわけにはいきません。
一方、バッテリーの進歩は著しく、リチウムバッテリーはどんどん進歩していますし、従来の鉛バッテリーなら、まず安心して良好なサウンドが得られます。(リチウムバッテリーは、身近なところではバッテリー自転車に搭載されています。)
また、私の実験では、電気二重層による、コンデンサーによる蓄電エネルギーは物凄いものがあります。
例えば、標準的な電気二重層(600F:マイクロファラッドではない)/2.5V)のチャージエネルギーは1/2CV×Vに当てはめると、1875ジュールになり、これを10個並べて、±12.5V電源を作ると、その総エネルギーは18750ジュールになります。
1Wの大きさの音で楽しむとすると、18750秒(312分)も聴けます。
実際、聴いてみましたが、バッテリードライブに勝るとも劣らないピュア、かつ、パワフルサウンドが聴けました。これから、この方式も有望です。
いくら、AC電源を安定化電源で交流分を改善しても、電磁波ノイズの侵入は防げません。

2chステレオ方式では原音再生は難しい

クラシック音楽録音・再生の場合

2ch伝送路で、スピーカー再生するとリスニングルームでL/Rのスピーカーから再生されます。このとき、スピーカー基準とする正三角形の頂点で聴くようになっています。
このとき、スピーカーからの音はL/R相互にブレンドしあい、L/Rのセパレーションは低下します(【図1】参照)。
2.5mくらい離すと、L/Rのセパレーションは7dB程度になります。
大幅にステレオ感は低下します。その上に、リスニングルームの反射・吸収・回折・回りこみ等の音響現象が伴います。
(ボース博士の研究によれば、ホールやリスニングルームにおける直接音に比べ、反射音はその9倍になると言われています。)
そうなると、2ch原音再生は夢物語です。多くの関係者は分かっていて、それらしく聴こえるように、録音時に工夫を加えているのです。
ステレオ黎明期では、センター定位が2ch伝送では不十分として、3chでの録音がおこなわれ、ステレオレコードの普及に伴って、2ch伝送にミックスダウンして、マスターサウンドとしているのでした。

原音再生に近づけるには、伝送路を増やすしかないのです。
かつて、1970年代の4ch方式は何とか2ch伝送路に4ch情報を加えて、原音再生に近づく方式だったのです。
2chオーディオでは困難が伴いましたが、映画(シネマ)の世界では伝送路を増やすことは難しいことではありません。
めざといドルビーやルーカスは映画の世界で、5.1ch方式を造りだし、家庭用AVにおいても普及を目指し、今や、確立しています。
さらなる原音再生を目指すのなら、伝送路を増やせば良いのです。NHK技研では22ch伝送方式を提案しています。

どうしても、2ch伝送路で原音感覚を得ようとすれば、ダミーヘッドで録音して、ヘッドフォンで聴けば、原音を聴くことに近づきます(【図2】参照)。
バイノーラル録音(Binaural recording)と呼びます。
けれども、この方式はあまりはやっていませんが、一歩譲って、現在の2chステレオで原音らしきもの聴くには、ヘッドフォンリスニングのほうが優位になります。

江川さんは、何とかスピーカーで原音感を改善できないかを考えました。
江川さんの言いだした“逆オルソン”リスニングなるものは、L/Rの真ん中に板で仕切り板を作って、かつ、L/Rスピーカーのサウンドが互いにブレンドしないように、スピーカーを外側に向けて聴くことを提唱したのです(【図3】参照)。
理屈には合っていると思いますが、実際のヒアリングでは閉塞感が出てしまいます。ですから、ほとんど、はやりませんでした。

そこでの次善の方法はニアフィールド・リスニングです。スピーカーを耳に近づけて聴くようにすると、L/Rブレンドによるステレオ感低下はある程度改善され、けっこう眼前でリアルサウンドが楽しめ、かつ、場所も食わず、音量も上げなくても良いのでお勧めです。
評論家さんでは和田博さんが提唱しています(【図4】参照)。

POPS、ジャズ、JPOPSでは、割り切れれば原音再生できると考えても間違いではない

上記ジャンルのオーディオ音源では、クラシックのように空間の生音を収録するようなことはしないし、できない。
ライブであっても、空間生音でやることはできない。なぜなら、PAを使わなければ観客に聴こえないからである。
だから、上記音楽再生はクラシックのような集音はできず、個々の楽器の直接音をマイクで収録して、そのうえで加工し、リスナーが心地よく聴こえるように、エンジニアがサウンドを創り上げるのである。
具体的には、各楽器やボーカルサウンドを個々に収録して、多CH信号として、2ch信号を適度にL/Rにミクシングし、2CHオーディオ信号となるのである。
一昔前はマルチモノラル方式と呼ばれた。近年は多CHのデジタルミクサーが出現したので、それほど苦労せず音源は完成する(【図5】参照)。
この信号をスピーカーから再生し、製作したエンジニアが“これが自分の意図したサウンド”と言えば、それが原音再生と言っても間違いではない。
多くの音楽メディアはPOPS系が大多数であるから、矛盾していないが、楽器間に空間的結びつきがないので、本当のステレオではないが、充分楽しめ、これがオーディオの主流になっています。
クラシック音源は残念ながら、演奏を聴いたサウンドに近くなるように、努力を重ねる趣味と言えます。
それはとてもやりがいのある道楽で、私もオーディオ人生の半分は、クラシック音源をそれらしく聴ける努力に費やしてきたと言えるでしょう。
見果てぬ夢を追うには、やってみることが充分過ぎるほどあるのです。
江川さんは原音追究の原点を指摘したともいえる方と言えます。
一方、故 菅野沖彦さんは余裕を持って、見果てぬ夢を追った方です。
なぜなら、菅野沖彦さんの貴重な音源に、クラシックにはさしたる作品はなく、ジャズ録音をクラシックテイストで録音して、素晴らしいサウンドに仕上げています。
それは“オーディオラボ”に残されています。
また、菅野沖彦さん宅のサウンドは、できるだけ響きを適度に豊かにして、クラシック音源再生においては、マッキントッシュXRT-20を使って、原音を目指したサウンドに仕上げられていました。
菅野沖彦さんから生前、“原音再生”という言葉は一切聴いたことがありません。

イヤフォン/ヘッドフォンで、ポップスを聴くこと

スピーカー再生で空間でのL/Rのブレンドによって、ステレオ感を出すことで効果を上げるので、イヤフォン、ヘッドフォンリスニングは不自然な感じになりがちです。
従って、L/R相互の音を少し他chに漏らす方式のヘッドフォンが好評のようです。

まとめ

オーディオは総合技術であり、芸術の世界であり、官能の世界でもあります。
そこには、あるジャンルだけに囚われて、大きな舞台を忘れて、葉を見て、山を見ずの道楽になっては少し残念です。
皆さん、少し、大きな視点でオーディオを楽しみましょう。


【図1】2chステレオの標準的な聴き方

【図1】2chステレオの標準的な聴き方

【図2】クラシック音楽の場合の録音

【図2】クラシック音楽の場合の録音

【図3】江口さんの勧める逆オルソンヒアリング

【図3】江口さんの勧める逆オルソンヒアリング

【図4】ニア・フィールドリスニング

【図4】ニア・フィールドリスニング

【図5】POPS音楽の場合の録音

【図5】POPS音楽の場合の録音


デジタルサウンドとアナログサウンドの味わい

オープンリールデッキと関わり合い

私のオープンデッキの歴史は古く、不満、不具合の期間も長かったです。
始めは、21才頃、当時、テープレコーダー研究会という組み立てデッキメーカーのような組織があって、都心でオープンデッキを注文製作していました。
略称としてTRKと呼んでいました。当時の初任給¥2万程度の時代、¥20万以上の販価でした。
その内容はAMPEX アイドラードライブデッキのデッドコピーというべきものでした。モデル名は339(さんざん苦労すると言う意味)でした。
私はバイトでせっせと積み立て、ようやく、入手することができました。
当時は宅配などなかった時代ですから、電車と徒歩で、製造所まで取りに行きました。そのメカは30kg近くあり、重かったですが、若さだったのでしょう、家まで持ってきました。
さて、そうなっても、メカだけで、録再アンプは自作しなければなりません。当初は、テープを回してみるだけの日々でした。
そうこうしているうちに、タムラに就職、時間を見つけては、録再アンプの製作に励みましたが、なかなかできない。
タムラを退社して、母校に戻って、音響研究用にオープンデッキが必要になりましたが、研究用には間に合わず、完成品を買うはめになりました。
当時は、奨学金が支給されていたので、何とか工面してTEAC 4000Sを購入し、4トラック、19cmで音響実験に使い、そのあとはテープミュージックソースを楽しむ程度でした。
そうして、サンスイ入社、スピーカー設計部で設計業務に励みましたが、社内にはデッキ自作研究者がけっこういて、独自の方式(テンション・サーボ)を設計できてしまう方々の仲間に入れて貰い、
いろいろと学ばせていただきました。
当時はオーディオがこれから花開く時期、社内は活気に溢れ、経営陣もエンジニアの自主性には大目に見てくれた時代でした。
サンスイ主催のコンサートが頻繁に開かれ、デッキ愛好家グループはコンサート録音をしてしまうこともやっていました。
私は大いに刺激を受け、TRK339がようやく4年がかりで動くようになりました。

さらにオープンデッキ・ブームは突き進んでいく結末

もちろん、LPレコード再生がオーディオ道楽のメインでしたが、それを上回る音質を得るには、レコード会社が採用している2トラック、38cmでないと、と言う願望が渦巻いてきました。
TEACをはじめとして、AKAI、SONYが相次いで、ツートラ・サンパチができるデッキを販売しました。
けっこうな売れ行きで、JVC、パイオニアが追随しました。ケンウッド、サンスイは参入しませんでした。
しばらくして、優秀なデッキが現れてきました。テンション・サーボ方式を取り入れたデッキです。
放送用デッキから民生用に作ったデノン、そして、独自に3Mのデータレコーダーの走行方式を採用したテクニクスです
海外ではREVOXがけっこう売れました。
私は、TRK339が大きく重いので、運搬できるデッキとして、パイオニアのデッキを買い、これは今イチの走行性能。
そこで、REVOX HS-77を買う羽目になり、録音会にデッキを担いで、参加していました。
1970年代です。それからも、オタリなどの優秀なデッキも発売されましたが、ビデオデッキによるPCM録音機が発売で、オープンデッキは姿を消し始めました。
それからは、皆さんご存じのテープ方式のデジタルデッキが発売され、期待されました。
ところがCD発売の1982年以降はCDで持ち切りとなり、録音するという趣味は少なくなりました。
近年は小型・軽量のマイク付きデジタル録音機が安価に買える時代となりました。

それでもアナログサウンドの最高を思い出したい

私は、10年前にTEACのオープンデッキを中古で買いましたが、その性能は今イチ。
そして、東日本大震災で、デッキの一部が壊れてしまいました。
それからは、手持ちのテープソフトはいたずらに在庫されていました。でも、いつも気になっていました。オープンデッキを!
オープンデッキ・オークションを眺めては、ため息をついていましたが、ついに4月、思い切ってテクニクス RU-1500を落札してしまいました。
届いたデッキはとても状態が良く、性能はばっちりです。
特にテンションサーボ方式が優れています。走行性能が素晴らしく安定しています。
TEACデッキはとてもかなわないです。
よくぞ、ここまで作った!とテクニクス根性が表れています。

テンション・サーボとは:3モーターデッキはフォワードモーターでテープを進行方向に引っ張ります。リバースモーターはテープを逆に引くようにテンションを持って、引きずり回されています。
走行速度はキャプスタンモーターで、保持されます。けれども、テンションが一定にならないと、テープの始まりは早く、最後のほうは遅くなります。
これでは、一定した音楽が保てません。これを重視したのがSTUDERで、いち早くテンション・サーボを取り入れて、走行スピードの安定化を図りました。
おおらかなのはAMPEXで、AG-440でさえもテンション・サーボ機能はありませんでした。

テープデッキは音がでるまでの儀式は、CDに比べるとものすごく面倒ですが、パソコン作業中に合間を見て聴いています。
やはり、オープンデッキサウンドはまったくデジタルサウンドとサウンドの基本的な味わいが違います。まるで、日本料理とフレンチの違いのようです。
どんなにCDが素晴らしいと言っても、その味わいはフレンチやイタリアンで、日本料理のような素材を生かす料理ではありません。
けれども近年のハイレゾはじっくり聴いたことがないので、何とかしたいです。
いずれにしても、過去の遺物オープンデッキを楽しんでいます。テープ音源は生禄ものが大半です。

ダイレクトカットレコードを聴く

1970年代には、アナログレコードの究極のサウンドを目指して、テープを通さず、ダイレクトにカットする方式のレコードが販売されました。
シェフィードラボからのダイレクトカットサウンドは、それは、それは、38/2Tに匹敵するサウンドでした。
けれども、ミュージシャンに大変なストレスを与えるので、はやることはありませんでした(ミスをすると演奏がやり直しになる)。
それでも、日本レコード各社は挑戦し、数枚のレコードが発売されました。
私のレコードプレーヤーを、何とメルカリで、¥3,200でゲットしました。
そのサンスイレコードプレーヤーを修理して使って、今、満足しているところです。
そこで、しばらく聴かなかったダイレクトカットのピアノソナタを聴きました(RCA 45回転、RDCE-4、1977年2月録音)。
それは凄いフレッシュサウンドです。Dレンジも比類なく広く、本質的に生なサウンドなんです。
そこには、フレンチやイタリアンで感じるチーズ臭さ、オリーズオイルの香りはありません。まさに、生そのものです。

そうしているうちに、お客様からTELがありました。バッテリー駆動アンプで、2WAYチャンネルアンプシステムを始められた方です。
チャンネルデバイダーの方式には、従来のアナログフィルター式と近年登場したデジタル方式があります。
そのお客様は、それまではデジタルチャンネルデバイダーでフラットな周波数特性を得て、それなりに満足されていたそうです。
しかし、「デジタルチャンデバとアナログチャンデバとでは“サウンドのフレッシュさ”がまるで違う!」と、うちのめされたようです。
AC電源駆動アンプで、SPを鳴らしているときは、音質のフレッシュさにそれほどの差異を感じていなかったそうですが、バッテリー駆動アンプで、SPを鳴らすと、はっきりと音質のフレッシュさの差異を感じてしまったとのことです。
魚で言えば、”生き”が違うと例えられていました。

デジタルチャンデバは高価でパソコン調整が必要です。けれども周波数フラットも大切ですが、フレッシュさが優先というお話でした。
そういえば、山梨で同じようなデジタルチャンデバ方式を採用している方に聴かされて、すばらしく4chシステムは良くなった!と私は激賞しました。
けれども、長く使っていると、フレッシュさで段々と違う心理がうずいてくるようで、数年前にやめて、真空管アンプによる2WAYSPとシンプル方式にしてしまいました。
これは、オーディオ道楽として贅沢な悩みと楽しみと私は思います。どちらが良い悪いという次元を超えています。

76/2TRレコードを聴く

1970年代、第一電器の熱心な方達は上記方式のスペシャルレコードを造り、販促用に配っておりました(カートリッジを買えば、おまけに貰える!)。
それを改めて、ダイレクトカットレコードと聴き比べると、それはダイレクトカットレコードのほうがフレッシュでした。
それは、76/2Tが凄いと言っても、高域特性は良くなるだけですから。
当時のオーディオは本当に楽しさにあふれていました。
皆様、今でも間に合います。素晴らしい道楽を、生活を乱さない程度の費用で大いに楽しみましょう。


高効率ホーンドライバー用パワーアンプについて

パワーアンプとスピーカーとの関係

パワーアンプとスピーカーとの関係をシンボルに使って、【図1】に示します。パワーアンプは一般的な半導体パワーと仮定します。仮に、接続するスピーカーのインピーダンスを8Ω、効率90dBとします。効率90dBとは、スピーカーに1Wの入力(2.83V/8Ω)を加えたとき、1m離れた時点に発生する音の大きさを音の単位をデシベル(デシベルとは、電話発明のベルのあたまにデシ(1/10の意味))を付けて表します。

音の単位は、フォンということがかつて一般的でしたが、現在ではデシベルで表します。静かな部屋の暗騒音は30dBくらいなら、大変良好なリスニングコンディションと言えます。ちなみにスピーカーの特性を測定する無響室の暗騒音レベルは20dBがやっとです。(厳重な防音設備が施されます。)イシノラボのリスニングスペースの暗騒音レベルを測定してみました。48dBでした。一般的にエアコンをつけると暗騒音レベルは10dB以上、上昇します。夏のオーディオリスニングは不利な条件です。
ところで、90dBの音はかなりうるさい大きな音です。連続音ですと、5秒も続けば近所迷惑になります。
このとき、アンプに必要な入力電圧は、このパワーアンプの増幅率を10倍(20dB)とすると、2.83Vの1/10の0.283Vになります。プリアンプから、0.283Vをパワーアンプに加えればそうなります。
そこで、高効率ホーンドライバーをこのアンプに接続したら、どうなるでしょうか?ホーンドライバーは非常に高効率です。ここでは110dBとします。110dBの音はジェット機離陸を近距離で聴いたことに相当するくらいの大音量です。長時間聴くと、難聴になります。ちなみにオーケストラのFFFでも指揮者の位置で110dBを超えることはありません。例外として、グランカッサの一撃では110dBを超えることはあるでしょう。
“ちょっと待って!”という声がかかりました。“私は1mという近距離で聴くことはないです!”、“スピーカーから4mくらいの距離で聴きます。
110dBという音量は2mと倍の距離で聴くと、6dB下がり、104dBになります。4mとなると、さらに6dB下がって、音量は98dBになります。これくらいの大音量では、少なくとも、難聴になることはありません。それなら、ホーンドライバーから出る音量はもう少し大きくでるようなマージンがあっても良いとなると、1m距離で6dBアップさせると110dB+6dB=116dBの音量になります。ホーンドライバーに入る電圧は2倍になり、電力に換算すると4倍の4Wになります。ちなみにホーンドライバーの耐入力は4~5Wに作られています。パワーアンプの最大出力は4Wもあれば充分過ぎることになります。私は、ホーンドライバー用アンプの最大パワーは2W~3Wが最適と思っています。
ところが、オーディオアンプメーカーからは小出力のパワーは販売されていません。例えば100Wアンプで、ホーンドライバーを動作させることは、ホーンドライバーを破壊させるかも知れない恐ろしく乱暴なことだと思います。

パワーアンプのゲインと残留ノイズの関係

前述の事項をパワーアンプの性能面で記します。10倍(20dB)のゲインを持つアンプに110dBのホーンドライバーを接続すると、少しの入力で、大きな音が出てしまいます。プリアンプのボリウムを少し上げただけでそうなってしまう現象が発生します。それは我慢するとして、アンプのノイズ成分は90dBのスピーカーを接続したときより、10倍(20dB)も大きなノイズが再生されます。これでは、音楽成分にノイズ成分が相対的に大きく聴こえてしまいます。せっかくの高効率もノイズが大きく聴こえてしまっては困りものです。
その解決法は、パワーアンプの増幅度を上がった分だけ下げれば、ノイズ成分は下がってきます。簡単で多くの場合、なされる方法はNFB量を増やすことです。NFB量を増やせば、ゲインは下がります。けれども、パワーアンプのS/N比はノイズ成分が下がった分だけ増幅度が下がるので、S/N比(ノイズ/再生信号レベル)は変わりません。
NFB量を増やすことは、アンプ自体(オープンループと言う)の周波数レンジを広げないとアンプとしても発振安定度を悪化させます。具体的には電圧フィードバック方式のパワーアンプでは必要な再生帯域のゲインを維持して、超高域の周波数特性を落とす(位相補償)ことでかろうじて、実用化できています。真空管アンプではNFBループにコンデンサー時定数、出力トランスが入っているので、発振安定度は悪化し、位相補償することでそのアンプの音質が劣化してしまいます。故、上杉氏はNFB量14dBくらい限度という持論で、私も支持します。

半導体アンプは直結回路ですから、すぐ感知できる音質劣化はないものの、位相補償を施しても、どこか音質がイマイチということで、NFB量50~60dBくらいが限度と認識している設計者が多いようです。その面からも著しく増幅度の低いアンプは販売されていないことをみても分かります。市販アンプ自体の増幅度は20dBから30dB、大きくても38dB(65倍)くらいに収束します。

マスターズの考えるホーンドライバー用パワーアンプ

ちょうど、現在製作している上記使用目的のパワーアンプについて述べてみます。バランス増幅アンプで実現させると基本回路はZバランス回路を採用します。そして、このパワーアンプ部の増幅度を18dBとわずかに低くしました。NFB量を多量に増やして、増幅度を下げることはしていません。(この時のノイズレベルは80μV(LPF:80kHz)
そうして、トランス式パッシブプリアンプで高音質を得ているスーパーパーマロイコア採用のマッチングトランスを、パワーアンプとホーンドライバー間に設置することにしました。このマッチングトランスの巻線方法は1次/2次巻線を2本同時に巻くバイファイラー巻きを施して、かつ、巻線比は3:1としてあります。(【図4】参照)
ホーンに掛かる電圧は1/3に低下しますから、マッチングトランスによる増幅度の低下は9.5dBになり、このパワーアンプの仕上がり増幅度は18-9.5=8.5dB(2.68倍)となり、高効率ホーンドライバーを動作させるには具合の良い増幅度になります。ですから、プリアンプのボリウム位置は少し回して大音量になることなく使いやすくなります。(0.283÷2.68≒0.11V入力で、90dBの音が出てくる。)そして、ノイズレベルは80μ÷3≒26μV(LPF:80kHz)と超低ノイズのパワーアンプができます。(【図5】参照)
さらに良いことに、ホーンドライバーのインピ―ダンスは8Ωですから、パワーアンプの負荷インピーダンスは8×3×3=72Ωなります。このパワーアンプは負荷抵抗72Ωなりますから、パワーデバイスに流れる電流が同じ分だけ減少し、MOSFETのリニアリティ(ひずみ)がアイドリング電流を増やすことなく改善されるAクラス動作になっています。
最大パワー電圧はトランスなしの直結条件では8Ω/14V出ますから、計算上14V÷3≒4.67Vになりますが、負荷抵抗が大きくなる分、アンプ電源供給電圧の低下が少なくなるので、実際は5V以上(3.12W)出ます。
パワーが下がった分、ホーンドライバーにとって安全になり、さらにマッチングトランスによりDC成分はホーンドライバーには加わりませんのでさらに安全になります。
もちろん、そのサウンドはTANNOYアーデン(93dB効率)で聴いてみました。混濁感は全くなく、澄み切ったサウンドが出てきました。
まだ、実験していませんが、電源をバッテリーにすればさらに素晴らしいサウンドのアンプになるでしょう。
最後に、アンバランス増幅で制作するときは、Xカレントアンプを採用すれば、同等の優れたアンプができると思います。その費用はバランス増幅アンプに比べてお安くなります。
ニア・フィールドで聴きたい方にもお勧めです。(【図6】参照)

【図1】パワーアンプとSPの接続

【図1】パワーアンプとSPの接続

【図2】パワーアンプ、ホーンドライバ、リスナーとの関係

【図2】パワーアンプ、ホーンドライバ、リスナーとの関係

【図3】Zバランス増幅アンプとスピーカの関係

【図3】Zバランス増幅アンプとスピーカの関係

【図4】Zバランス増幅アンプとホーンドライバとの間に挿入されるマッチングトランス

【図4】Zバランス増幅アンプとホーンドライバとの間に挿入されるマッチングトランス

【図5】ホーン、ドライバとリスナー位置による音圧との関連

【図5】ホーン、ドライバとリスナー位置による音圧との関連

【図6】Xカレントアンプによるホーンドライバを構成する方式

【図6】Xカレントアンプによるホーンドライバを構成する方式


カレント・フィードバック(電流帰還)回路

ここ10年くらい前から、アナログアンプ回路について、カレント・フィードバックという回路方式が紹介されるようになってきました。
浅学ながら、自分なりに調べてみると、カレント・フィードバックは、過去のトランジスタアンプ、また、真空管アンプのNFBの掛け方と共通性があることが分かってきました。

過去の半導体アンプと真空管アンプのNFB

【図1】に示すように、初段に差動アンプを採用していないアンプ(1970年代前半)においては、アンプ出力ステージより、初段のエミッタ、ないし、ソースにNFB抵抗を介したNFBが成立していました。具体的には、初段の電流帰還抵抗にNFB抵抗が接続されるかたちです。
同じように、真空管アンプでは、アンプの出力トランス2次側から、NFB抵抗を介して、初段のカソードにNFBが掛けられています。(【図2】参照)

カレント・フィードバックの考え方

カレント・フィードバックに基本的な概念は【図3】に示すように、初段にバッファーが設置され、充分インピーダンスを低くして、その回路の電流感知回路部にアンプ出力部からNFB抵抗を介してNFBが掛けられます。抵抗値は比較的に低く(1kΩ程度)しておけば、NFBは電流感知して、その変動分はI/V変換回路を経て電圧になり、出力バッファーで構成されます。これがカレント・フォードバックアンプといわれる基本的な考え方です。

カレント・フィードバック回路は、これまで、初段に必ず設置された差動回路(【図4】参照)を採用していないです。“JBL SA-600”から始まったとされる差動構成回路は現在でもほとんどのアナログ半導体アンプに採用されています。ある意味、先祖帰りともいえる方式です。

そもそも、カレント・フィードバックはスルーレートを高くしたい(ワイドバンドアンプ:高周波領域まで増幅できる)OPアンプICメーカーがこの回路に行き着いたとされ、市販されているハイスルーレート・ICアンプのスル―レートは1000V/μVを超えています。繰り返しますが、スルーレートが高いことは高周波増幅能力が高いことを意味します。100MHz近辺のビデオ回路に使われています。
差動回路に代表されるボルテージ・フィードバック回路(【図5】参照)は超高域、高周波帯域ではオープンループ特性が落ちて、NFBを掛けることにより、アンプの位相偏移が大きくなり、うまく位相補償回路を駆使しても位相偏移は135度くらいになってしまいます。180度になると発振します。オーディオアンプの常識としては、連続波での応答では発振しないので、問題ないとされています。

ところが一部の音質に敏感な方々から、どうも、ボルテージ・フィードバックアンプを聴くと、どこか違和感、混濁感があると指摘されることもあります。そのことをオーディオを電気的に検証しようとしても検証できず、今なお、このようなアンプ談義に終わりがありません。なぜなら、音楽のような過渡信号に対する解析は進んでいないからです。おそらく、過渡信号に対して位相偏移が大きいとNFBが理論どおり掛からず、結果的に満足するサウンドと感じられないのでしょう。
発振回路的なアプローチでは、負性抵抗の発生により、サウンド的に劣化する可能性があるという見方もあります。

上記のような現象により、いまだに、フィードバック量の少ない無帰還の真空管アンプに根強い人気がありますし、エレキギターアンプにトランジスタアンプが採用されない根拠にもなっているのではないでしょうか。
そうこうしているうちに、1990年代、差動回路によるボルテージ・フィードバックに限界を感じた一部のエンジニアは、2000年あたり、カレント・フィードバック回路をオーディオアンプに採り入れ始めました。
理論的には、アンプ位相偏移は極限に抑えられることで、NFBが音楽のような動的成分であってもNFB演算が正確におこなわれるとされています。負性抵抗成分も発生しないとされています。
【図6】にシンプルなカレント・フィードバック回路例を示します。このカレント・フィードバックアンプ回路初段はバッファーで構成されるので、初段は出力からフィードバックを掛けられないことになります。また、アンプ全体にフィードバックが掛けられないので、DC安定度はボルテージ・フィードバックに比べて少し不利なようです。
具体的には、代表的なアンプブランドではあるA社では、全面的にカレント・フィードバック回路が採用されています。今から考えると、それ以前とその後ではA社のサウンド傾向は微妙に変化したという指摘される方もおられます。

最近では、カレント・フィードバック回路部をモジュール化して、オーディオアンプ回路に採用するオーディオブランドもあるようです。オーディオクラフト誌や、オーディオ誌において、モジュール搭載アンプのサウンドが高い評価を得ているとは言えず、さらに、上記に具体的にカレント・フィードバックについて言及されていることはあまりないようです。

関連事項

関連事項として、山水のダイアモンド差動回路(【図7】に示す)は2組の差動回路が上下に配置され、4か所のコレクタ加えられた信号電流成分は次段のI/V回路に接続され、バッファーとされるパワーステージ回路で構成されます。この回路は初段に通常の定電流回路を伴った電流制限回路があるもののダイアモンド差動回路に電源制限がなく、電源電圧までフルスイングすることが出来るので、スルーレートは驚異的な200V/μVです。そのダイアモンド差動回路から、バランス動作に展開したのがXバランス回路です。

一方、マスターズのZバランス回路も、初段差動回路に定電流回路を設けていませんので、電源電圧までフルスイング出来ます。電源電圧はそれほど高くしていないので、200V/μVには達していませんがハイスルーレートアンプです。ハイスルーレートアンプでは位相偏移が少なく、負性抵抗の発生が少ないと言えます。どちらかと言うと、山水電気のダイアモンド差動回路は今から考えると、結果的にカレント・フィードバックの長所を生かしているようにも思えます。具体的には差動回路を採用していても、定電流回路を設けないことがハイスルーレート性能を達成する要素のようです。

さて、スルーレートの値ですが、フィードバック量の少ないアンプでは1V~10Vもあれば充分でしょう。また、ゲインが取れないバッファー/フォロアー回路には、負性抵抗による発振が発生しないように、入力に打ち消し抵抗を付けておくことが肝要です。

【図1】差動入力回路を採用していなかった1970年代前半のアンプ(2ch分)

【図1】差動入力回路を採用していなかった1970年代前半のアンプ(2ch分)

【図2】真空管アンプにおけるフィードバック

【図2】真空管アンプにおけるフィードバック

【図3】カレント・フィードバック基本構成

【図3】カレント・フィードバック基本構成

【図4】差動入力回路を採用し、コンプリメンタリー構成のアンプ

【図4】差動入力回路を採用し、コンプリメンタリー構成のアンプ

【図5】ボルテージ・フィードバック基本構成

【図5】ボルテージ・フィードバック基本構成

【図6】カレント・フィードバック構成の例

【図6】カレント・フィードバック構成の例

【図7】ダイアモンド作動回路の基本構成

【図7】ダイアモンド作動回路の基本構成


プリアンプのあるべき姿とアクティブアンプ設計の難しさ

きっかけ

プリアンプはCDが登場して、CDプレーヤーの出力が2Vmaxと高いので、従来のプリアンプのように、17.6dBのゲインを持つ必要がなくなった。
むしろ、パワーアンプへ送り込むオーディオ信号の調節に主たる役割があると言えましょう。
それでも、アクティブアンプ方式のプリアンプは、ラインアンプゲインを12~18dB程度のゲインを持たせて、構成しているところが多いようです。
実際の使用に際しては、減衰器としての動作がほとんどです。むしろ、プリアンプゲインは0~6dBもあれば充分です。
それでも、上述のようにゲインを持たせてしまうのは、半導体アンプのオープンループは80~110dBも取れてしまうので、プリアンプとしてもゲインを得るためには、例えば、オープンループゲイン:80dB、プリアンプゲイン:18dBとすると、80-18=62dBもの多量NFBを掛けているのです。
NFBは、S/N比は改善出来ませんが(NFB量だけゲインが減るから、何処までいってもS/N比はアンプ基本回路で決まる)、残留ノイズとひずみと出力インピーダンスを下げることができます。
すべての現象は、必ず作用をさせれば、反作用があります。プリアンプでは、それは何でしょう。パワーアンプなら、スピーカーからの逆起電力などの反作用があります。プリアンプは負荷がパワーアンプの入力インピーダンス分だけですから、発振安定度にも問題ないように見えます。
連続波による電気的性能を見てみると、多量NFBにより、ひずみは極小に収まります。普通に作れば、プリアンプは簡単にできそうに見えます。
(バランス回路についてはこの際、考えないとします。)
それでは、皆さん、プリアンプについて、悩むことはなくどれを選んでも良いように思えます。一方、どのプリアンプも使う気にならないというオーディオファイルもおられます。その言い分は音質がいまいちと言うものです。

NFB量とNFBの正しい掛かり方

NFBアンプはNFBを掛けた分、ゲインが下がり、また、入力と出力との位相差は高域にいくほど大きくなります。
NFBは入力と出力との位相差がなければ、NFBの作用が理想的に作用し、副作用的な現象は起こりません。
具体的に、2段構成(ほとんどのアンプ)アンプですから、高域端では、その位相偏移は180度に達します。そのとき、そのアンプが、ゲインがあれば発振します。一応、アンプ設計の常識では、位相偏移が135度以内なら、問題ないと言われて、多くのNFBアンプはそうなっています。
果たして、位相差が大きな信号が入力の演算(サミングポイント)がうまく作用して、うまくいくのでしょうか?連続波でひずみを測定してもうまくいっているのです。
ところが音楽は複雑な不連続波ですから、NFBが正しく動作していると言うことは断言できません。特に、近年、高周波ノイズ(電磁波ノイズ)がまき散らされています。高周波ノイズが入力すれば、さらにさらに、NFBはおかしな作用しかしなくなるでしょう。
だから、アンプは聴いてみないと分からないと言われてしまうのです。
このあたりの問題を追究した方はごく少数の方だけです。
このように検討の行き場を失ったアンプ設計は、部品を選択したり、配線材を変えたり、振動防止をしてみたりして、結果として音調を変えたに過ぎない努力をしているという見方もあります。
むしろ、もう少し、NFBをオーディオ的に考えるべきと思います。
究極な方式は、NFBを掛けない無帰還アンプにすることです。オープンループ特性では、真空管は徐々にひずみが取り扱う電圧が大きくなるにつれて増加しますが、入力が小さいときは0.02%くらいの値を示します。
だから、大きな信号時にはひずみが0.5%と大きくなっても、愛好するオーディオファイルは少なくないのです。

NFBに関係なく、高音質プリアンプを実現

もっと、方向を変えて、アンプを用いないトランス式プリアンプはNFBまるでなく、磁気素材の性能と巻き線技術で出来ています。
その結果、我田引水になりますが、MASTERSのトランス式パッシブプリアンプは、連続波であろうとオーディオ信号であろうと、ひずみは発生しません。ですから、まったく次元の異なるサウンドなのです。幸い、高い評価をいただき、私はせっせと製作しております。

NFBアンプを高音質化する方向

さて、もう少し、NFBアンプを見捨てずに考えると、NFBにより位相偏移をより小さくすることを考えるべきと最近思い始めました。
具体的には、位相偏移が大きいと、アンプの入力インピーダンスは負性抵抗分が発生します。この防止対策には、入力に抵抗を付加して、負性抵抗を打ち消したり、位相偏移を小さくするために、位相補償を施して、対策する方法があります。振り返れば、かつて、山水のAU-607以来、2ポール位相補償回路によって、少なくともオーディオ帯域(~20kHz)まではオープンループをワイドして、NFBが位相偏移を起こさないよう考慮していたのです。それ以上の高域はフィードフォワード回路で、ひずみ低減を図っていたのでした。
このような方策によって、音質が確かに向上します。
けれども、近来のインバータ、スイッチイング電源、パソコン、携帯、スマホ等から発する電磁波ノイズがアンプに入り込み、NFBの弱点である位相偏移の大きい高周波領域(100k~10MHzあたり)で、NFBを混乱させます。このような現象によって引き起こすひずみ(NFBひずみと言うべきか)が発生して、その成分がフォールダウン現象によってオーディオ帯域に降りてきます。そこで、濁った、抜けの悪い、詰まった、というようなヒアリング現象を引き起こす可能性があります。一方、このようなサウンドがある種のプログラムソースではプラスに作用して、パワフルと言う方もおられます。
結論として、厳しく考えると、NFBアンプの位相偏移は90度以内に収めることが最低限度必要と考えます。

なお、近年、上記のような電圧帰還ではなく、電流帰還(カレントフィードバック)回路を採用しているアンプがありますが、これは後日、記述したいと思います。

お知らせ

マスターズのパッシブプリアンプ・ヒアリングをご希望の方は、いろいろなパワーアンプ、スピーカーと組み合わせることができる“サウンドハイツ”(千葉県市原市)にセットされておりますので、そこで、存分にお聴きください。


電源問題とプリアンプのお話

電源事情

ここ20年以上、スイッチング電源、インバータ電源の普及によって、家庭用電源の正弦波が崩れて、正弦波のあたまが潰れています。
専門的には、コンデンサの作用によって、コンデンサに充電する時間(流通角)が静電容量が大きくなるだけ小さく、充電電流が大きくなります。
こうなると、オーディオアンプの整流回路でのDC出力はきれいな正弦波の場合より、取り出せるDCパワーは5~8%程度低下すると言われています。
ですから、整流回路のコンデンサーの静電容量はむやみに大きくしては逆効果になります。

アンプは交流分(リップル)の少ない、低インピーダンスの電源で動作させるのが必要とされます。そのためには安定化電源なるものが普及していますが、この回路はNFBを応用しているので、その動作について、アンプの静特性では測定差がでてきませんが、ヒアリングでは差異があると感じる方は少なくありません。
それに加えて、近年の携帯、スマホ通信の通信電磁波は、アンプの電源部に混入します。混入した場合のアンプが受ける障害はヨーロッパの電波試験で明らかになったように、悪影響(アンプのS/Nや、ひずみ率が悪化する)を与えます。
(電波障害に対する対策は50年前から、ヨーロッパでは要求され、この試験をパスすることがヨーロッパで販売できるアンプにとって必須事項となっている。)

ところが50年前から、電磁波対策をすると、アンプのヒアリング結果(音質)が悪化するのは、関係者の間では常識になっています。
このような事態を知ってか、知らないか、分かりませんが、数々の電磁波対策アクセサリーが販売されており、それなりに皆さん、アクセサリーの意義を感じているような感想を目にします。

私は、商用電源不要のパッシブプリアンプの、汚れのない、生き生きした、リアル感溢れるサウンドに感動しています。
(MASTERSパッシブプリアンプ、大好評です!)

一方、電源付アクティブプリアンプは、NFB設計、電源設計の工夫により、パワフルな音質を持たすことが可能です。
特に、特別提供品のプリアンプはパワフルサウンドです。
アクティブプリアンプについては、ご相談をお受けいたします。

オーディオはいろいろな楽しみ方があります。

お知らせ

2016年に販売終了致しましたチャンネルデバイダ“MASTERS CD-300FC”の製作復活です。
4連ボリュームが入手できましたので、ご注文を受け付けます。価格は変わりません。
よろしくお願い致します。


オーディオ製品の価格

オーディオ製品の価格

7月号の“ステレオ”誌を眺めていたら、評論家・石田善之さんが“1桁高額化してしまったのはいかがなものか?”と言う感想を書かれていました。
私も同感です。振り返って、MASTERSブランドの価格は安いと思います。これまで、安すぎるというコメントがあっても、まけてくれというお話は皆無です。経営規模が零細ですし、利益をあげようとする気持ちもありません。
けれども、ある程度の規模の会社、また、今後成長しようとする経営者はそうはいかないと思います。

価格はどうやって決まるのか?

皆さん、TVやラジオショッピングで、通販でお買いになる機会は少なくないと思います。私もつい、食べ物などを注文してしまいます。
常識的にこのようなショッピング形態では、放送側は価格の50%程度を取ると言われています。
ですから、放送側のPRタレントは懸命に売り込むのです。また、“そうしていかないと採算が取れない”と放送局側は言います。

さて、オーディオ製品はどうなっているのかを私の推測で記述したいと思います。

輸入オーディオ製品

例えば、ヨーロッパブランドのスピーカーを輸入するとしましょう。
仮に、FOB(船積価格)が¥100万だと、輸入代理店は運賃、保険料、通関手数料、倉庫費用がかかります。これで¥120万になったとしましょう。
そして、カタログ、宣伝、販売店への輸送料等で、¥130万になったとしましょう。この費用から、定価は、60%~70%の名目利益を取って計算すると、¥325万~¥433万になってしまいます。
もちろん、輸入代理店は、販売店には65~70%掛け程度で納入すると、販売店側の粗利は¥98万~¥173万、その粗利幅は代理店側の経営判断によるでしょう。
一方、販売店は販売店間の競争があるので、定価からの割引販売が常態化しています。
一般的に販売店は定価の26%程度が継続経営の目安とされています。従って、割引率が2割とか2割5分とか言うと、経営的には苦しくなります。
実売¥260万~¥325万になります。
となると、よほどの富裕層でないと買えないでしょう。私の予測では、オーディオ富裕層は全国で500人くらいでしょう。
もう少し、関係者の皆さんは努力されないと、いわゆる“新品オーディオ”マーケットはじり貧になってしまいます。今や、オーディオショップは、全国100~120店舗程度と少なくなっています。

最近、輸入製品で、中国生産が主体となっている海外ブランドのスピーカー等は、元々の製造原価が極めて安く、さらに数量が多くなると、量産効果により、さらに安くなります。
そうなると代理店もある程度の数量が売れると想定して、思い切った定価をつけることができます。販売店に言わせれば、販売利益は薄いと言いますが、それほど値引きしなくとも販売できるとすれば、良い循環になるのではと思います。私も購入してみたいと思うほど、CPの高い海外スピーカーがあります。

国内オーディオ製品

国内販売を主力としている国内ブランドは、定価に対する粗利は30~40%と割と良心的と思います。今や、数少ない国内老舗ブランドアキュフェーズ(国内資本会社),デノン,LUX,オンキョーの価格はリーズナブルと感じます。
そのうえでの15%OFF程度の実売はそれなりに売れれば健全と思います。何とか、オーディオファイルの方も下取り等で、入手できそうです。

ところが、海外を含めたビジネスを展開しようとすると、海外代理店は日本の業者よりも利益を要求すると言われています。
また、輸出する際、輸出業務を委託する代理店を使うと、その代理店に納入した価格に上乗せして、輸出することになります。
しかも、情報が世界中に広まる時代ですから、海外業者は内外価格差を理由に輸出価格引き下げを要求してきます。
おそらく、アキュフェーズは世界最高の技術・作り・完成度でありながら、輸出実績は非常に少ないと思います。国内価格をリーズナブルに維持したいと思っているように推測します。

そうなると、仕方なく、国内定価をアップさせれば、海外業者はビジネスできるようになるわけです。“日本国内で買うのと同じような価格だ!”、“これなら、ビジネスできる。”
このような現象は一部カートリッジ、真空管アンプブランドに見受けます。
マイソニックの松平さんでさえ、“カートリッジの価格が高くなり過ぎた”と、最新号のオーディオ誌で述べています。
この傾向に組みしないのがデノンDL-103系カートリッジです。海外ではビジネスにならないと、海外業者からのお声はかからないと聞いています。また、老舗オルトフォンもSPUカートリッジほか、リーズナブルな日本国内定価です。よって、上記2機種は良く売れているそうです。
このあたりの事情を組んで、皆さん、オーディオ趣味を楽しんで下さい。

ちなみに、MASTERSアンプはリーズナブル価格で継続(大きく広げる気はありません)することだけを考えて、1台、1台、製作しています。
最後に、MASTERSアンプは他のアンプとは異なる特長を備えていますので、そのあたりにご注目下さい。まだまだ、ユニークで、優れたアンプを製品化する意欲でいっぱいです。

(注)驚くお話:1970年代、上述の松平さんが勤務していたカートリッジ会社から、山水はセパレートステレオ用カートリッジにMCカートリッジ(昇圧トランス付き)を2000台/月ペースで注文して、松平さん達は懸命に作ったそうです。そのときのMCカートリッジ単価は、¥3,000程度ではなかったかな?とおぼろげに思い込んでいます。(その頃の初任給は¥4万くらいだったでしょうか!?)

ある程度(300個程度)のロットで作れば、カートリッジ原価はぐんぐん下がるのです。


パーマロイコア採用の小型出力トランスの開発と搭載アンプの製品化計画

パーマロイ出力トランス搭載アンプのマイナーチェンジ

BA-218FBG/Pはパーマロイトランス搭載で大変好評、特に、そのサウンド評価が高いです。これまで、限定販売しておりましたが、予定数を販売し、いったん、このアンプの販売は終了と考えておりました。けれども、大好評、そして、このアンプの高音質は他に例のないサウンドです。そこで、急遽、新規トランスケースの入手とパーマロイコアの入手に努めた結果、引き続き、BA-218FBG/Pの販売は継続できることになりました。

小型パーマロイトランスの開発

現在、パーマロイコア採用の出力トランスはMASTERSのBA-218FBG/Pに搭載したほかはありません。かつて、2001年当時、タムラにおいてパ-マロイコア採用の出力トランス(F7021)が販売されていました。当時のオーディオ誌を読むと、“空恐ろしいほどのリアリティ!”、音楽の表情が繊細かつ大胆で!”、“大編成のオケが怒涛のごとく響く!”と評価されていました。残念ながら、高い評価に関わらず、あまり評判にならず、いつしか販売終了になってしまいました。
私は当時、山水OBの方が活躍されていた阪東電機に、シングル仕様でパーマロイコア採用の出力トランスを4個、作って貰いました。でき上がってきた特注トランスは、10W(40Hz)の容量なのに驚くほどの大型になっていました。また、高価で、これには参りました。ここで悟ったことは、高い磁束密度を取れないパーマロイコアは、DC磁化するシングル用出力トランスにはCP的にも向いていないことでした。具体的には、300B、2A3のシングルアンプを搭載して、2台切りで終わってしまいました。
それから、私はMASTERSのMOSFETバランスアンプのほうに傾注したので、真空管バランス増幅アンプとして、橋本電気に特注したバランスNFB巻線付き、オリエントコアの出力トランスBA-218FB/OSはパワフルで情報力が多く好評でこれまで、かなりの台数の製作実績で推移しています。

その後のパーマロイ出力トランス啓発の経緯は、これまでのブログや製品紹介文で記述しています。
パ-マロイコアは高価ですので、何とか小型化して、お買い求めいただきやすい金額でパーマロイトランスを出来ないものかと考えました。(実はこれまで、80Ω:8Ωのマッチングトランスとして、カスタムトランスとして、MOSFETバランス増幅アンプ搭載して、好結果を得ていました。)
パーマロイコアは高価なので、資金的事情で、ある程度の重量でしか入手できない経営状態です。そして、在庫負担にならないようにすることも注意点です。
そこで、採用するコアサイズは使用量がある程度見込めるコアを採用することにしました。それには、パッシブプリアンプに採用しているコアサイズとして、試作検討することにしました。

さて、少し分かりにくくなりますが、我慢して、このトランス基本数式を眺めてください。

N1=(4.44×E×10の8乗)÷(B×D×F)
N1:1次巻き数、E:取り扱う最大電圧、B:トランス励磁磁束密度、F:印加される最低周波数

この数式から読み取れることは、パーマロイ系コアはオリエントコアほど大きな磁束密度がとれないことです。オリエントコアの1/4程度です。従って、パーマロイ系コアを採用すると、パワーを取り出すことがオリエントコアに比べ不利になります。それでなくともパーマロイ系コアは高価ですから、真空管アンプの出力トランスには採用が難しくなったのでしょう。通信用トランスやMCトランスでは取り扱う電力が小さいですから、低ひずみのパーマロイ系コアが採用できたのです。(例外として、かつて、一部のウエスタンエレクトリックの業務用真空管パワーアンプには音質優先のため、パーマロイコアが出力トランスに採用されていました。)

さて、話を戻しますと、このコアで扱えるパワーは3W程度を目標としました。3Wというと小パワーと思われるでしょうが、88dB/W程度のスピーカーならば、ガンガン近所迷惑になる音量になります。

試行錯誤を重ねてたどり着いたのが、次のようなものです。

  1. 巻けるだけ1次巻線数を増やすことで、扱える最大電力を増やすとともにひずみ低減設計としました。(例としてLUXのOY型トランスはこの方向の設計で、30W容量にもかかわらず1次巻線はφ0.16で他メーカーよりたくさん捲き、最大磁束密度を下げました。ただ、30年後、1次巻線の断線が頻発したのは仕方ないことでした。OY型トランスの優秀な音質は現在でも高い評価です。)
  2. 2次巻線はバランス増幅に適合するとともに4パラレル方式としました。
  3. 結果的に1次インピーダンスは15kΩ程度となり、採用する3極管接続真空管のひずみが少なくなるようにしました。

そして、タムラOBのトランス達人Y・Yさんに作っていただき、このトランスを搭載したパワーアンプを写真に示します。

電気的特性とその音質

製作したアンプの真空管構成は6V6GTpp+5963+ECC81として、無帰還(NON NFB)とした。取り出せたパワーは3W+3Wで、音量は充分取れました。周波数特性は20-100kHz(-1.5dB以下)とワイドレンジです。ひずみ特性も100Hz、1kHz、10kHzともに良好で、かつ残留ノイズも無帰還にもかかわらず、0.5mV以下に収まりました。
次はヒアリングです。スピーカーは相変わらずTANNOYアーデン(アルニコ仕様)です。ヒアリングに使用した音源“ステレオ”誌の付録のCD(ジャズ、ギターソロ)のサウンドが素晴らしく、リアルなので最近よく使います。
オーディオ評論家として活躍の石田善之さんが録音を担当したもので、マイク選択のセンス、セット位置が素晴らしいせいか、他のメジャーCDの音源とは異なるリアルさです。おそらく、これらの楽器を至近距離で聴いたら、このようなサウンドになることは過去の体験で味わっています。
まず、スタートのブラスセクションの浸透的な響き、瑞々しいサウンドに引き込まれました。それに絡んでくるドラムス、ピアノとの混然一体となるサウンドのなかに各楽器の生っぽい響きは心身を揺さぶりました。おそらく、自己陶酔、達成感による要素もあると思いますが、明確に、これまでの真空管アンプサウンドと違うのは事実です。

これからの製品化について

3Wでも十分な音量が取れて、かつ、お買い求めいただき易い価格のバランス増幅真空管アンプを、近々発表することを予定しています。

パーマロイコア採用の小型出力トランス

パーマロイコア採用の小型出力トランス

パーマロイコア採用の小型出力トランス


コンサートサウンドとオーディオサウンド

ここ2年、“ミューザ川崎シンフォニーホール”が、主にコンサートに通うホールになっています。
その間、東京芸術劇場(池袋),墨田シンフォニーホール,オペラシティコンサートホールには出かけていました。サントリーホールはここ3年くらい行っていないです。
ミューザ川崎は、東日本大震災でホール天井が落下したことで有名になりました。このホールはベルリンフィル,ウィーンフィル等のメジャーオーケストラがサントリーホールと並んでコンサート会場とすることで分かるように、高く評価されているようです。
このホールに私は前列2列,8列,2階5列,3階右側,それに2階アリーナ席といろいろ聴いてみました。また、リハーサルも聴きに行き、200名程度の観客での響きの豊かさも体験しました。

私の感じたホールの特長

  • 演奏スペースの高さが低く、観衆からの目線を上げずに、一体感があるのが好ましいです。
  • ホール全体の響きが明るく、軽やかで、重苦しさがありません。レコードで聴くベルリンフィルハーモニーホールのような響き具合を感じます。
  • ここ2回、2階アリーナ席で聴くと、オーケストラとの一体感が得られ、指揮者の指揮振りと団員の反応がつぶさに見られるのは収穫です。

コンサートサウンドとオーディオサウンドとの違い

  • 当然ですが、Dレンジの差はどうしようもありません。アリーナ席、1階、前列では、オーディオメーターで測定したわけではありませんが、ピークで110dBは超えているでしょう。無音時での騒音レベルは50dB程度かとも思います(隣席の方の息遣いが聴こえる)。Dレンジは60dB以上ありそうです。この大音響を体に浴びる爽快感はコンサートの良さです。ちなみにスピーカー測定に使用される無響室の無音レベルは25dBくらいです。
  • 一方、私は必ず10分程度、目を閉じて(視覚をなくして)、聴いてみることにしています。やはり、人間の情報収集力は視覚情報が80%以上です。
    かつて、オーケストラの楽器配置が左~センター~右の音場展開は高域~中域~低音域になるように第一バイオリン,第二バイオリン,ビオラ,チェロ,その後ろにコンバスとステレオ音場を認識しやすかったのです。周波数バランスも気持ちよく聴けたのですが、近年、右側にビオラが来て、チェロが中央よりに入って、音域バランスが我々オーディオファンから乱れたバランスに聴こえるのは残念です。
    その状態で目を閉じて聴いてみると、確かにFF時のサウンドレベルの大きさには、とてもオーディオ機器とリスニング環境では再現できませんが、通常演奏レベルの音質・音調はコンサートと私のリスニングルームでも差異はそれほどないように感じています。むしろ、オケから離れた席で聴くより、細部の楽器展開はオーディオリスニングのほうが良好に聴こえます。
    従って、コンサートに行く意味は20%の聴覚情報より、80%の視覚情報を味わうように感じます。ここ2回ほど、2階アリーナ席で聴くと10mくらいの距離で指揮者の指揮ぶりがオケサイドからすべて見られます。どのタイミングでオケが指揮者についていくか?オケとオケ団員との相互のやる気が何となくわるような気ががします。

コンサートに行く意味

クラシックコンサートでは、視覚/聴覚とによって、会場で感動を共感でき、充足感を得ることができることは大きな意味があります。スピーカーを使ったライブコンサートではそのサウンドはCDで聴いた方がはるかに良好なサウンドで聴けます。けれども、やはり、主に視覚情報により、みんなで感激に浸れる一体感は素晴らしいものです。

オーディオ評論家では故、金子秀男さん、山中敬三さんはクラシックコンサートに出かけていました。山中さんはサントリーホールで倒れ、帰らぬ人になりました。菅野沖彦さんはクラシック録音(特に朝日ソノラマ時代)を手掛けていました。
ほかの評論家の皆さんはオーディオサウンドを重要視していたように感じます。
私は共感・感動も大切と思っているので、仕事に差し支えない程度のペース(6回程度/年)で、出かけることにしています。
次は6月11日にミューザ川崎に、また聴きに行きます。何と、アリーナ席は¥2,500という安さです。


絹巻線が見つかりました!

たまたま、パッシブプリアンプ用トランス巻線に適合する太さの絹巻線が1種類のみ、数台分、見つかりました。

絹巻線の用途は、巻線の絶縁材料になる絹の静電容量が少なく、高周波機器のコイルに使われます。
オーディオ用には、特に、実績はありませんし、やってみたとの報告も聞きません。
とりあえず、試作して、ヒアリングしたところ、より静寂なサウンドを感じました。

そこで、興味のある方!
パッシブプリアンプのトランス巻線に絹巻線を使用した仕様品のパッシブプリアンプの注文を数量限定で受け付けます。
なお、電気的性能はオーディオ帯域(10~100kHz)では、巻線種類で差異はありません。

価格は、絹巻き線のタップ配線処理作業に時間と手数がかかりますが、それほどの上昇はありません。
ご興味のある方は、お問い合わせ下さい。

【対象機種】
・CA-777G/AS
・CA-777G/AC
・CA-999FBG/O
・CA-999FBG/P(近日発売予定)

なお、CA-999FBG/ACは、対応する絹巻線の在庫がないので、対応が困難です。

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